Bet


いつも座るときよりも、少し間隔をあけて座ったあたし。



「ほら、今日は天気が良いから、近すぎると暑くて」


「なんだ、避けられてたわけじゃないんだ」



え?



「だって今日の和樺、俺と話してても、全然目合わせてくれないしさ・・・だから、避けられてんのかと思った」



ずるい。


どうしてそんなこと、そんな切ない顔で言うの?


淋しそうな顔で言うの?


それも演技なの?



「まさか。あたしが湊を避ける理由なんてないでしょ?考えすぎ」


「そうだよね。俺たち、こんなに仲良いもんね」




湊の胸に抱かれながら、あたしの心の中は黒く染まっていく。



それも嘘なんでしょ?


演技なんでしょ?


あたしの気持ちを踏み躙ったくせに、いつまでこんなお芝居する気なのよ・・・





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