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『和樺ちゃん?!あたし!湊と一緒にバイトしてた』
「覚えてます。この間はどうも・・・」
どうしてこの人から電話が来るんだろう?
それに、なんか切羽詰まった感じ?
ボーッとする頭の片隅で、そう考えていた。
『和樺ちゃん、今どこにいるの?』
「今?・・・家ですけど」
『今すぐホテルに行って!湊が待ってるのよ?』
その言葉に眉間に深く皺が寄った。
「湊はあたしのことなんて、待ってません。何の連絡もありませんから」
『それは違う。連絡したいけど出来ないのよ』
連絡したいけど、出来ない?
『今日のデートだって、ずっと前から計画してたのよ』
「でも、この間・・・」
《明後日のデートは俺に考えさせて》
「この間、俺に考えさせてって・・・」
『それは単なる強がり。本当はバイトを始める前から計画してたってわけ』
そんな前から・・・?