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「自分の誕生日なのに、あたしの好きなものばかり・・・」



部屋に入ってフカフカの真っ白のソファに座って部屋を見渡す。




ここで、あたしが来るまで湊は何を考えてたんだろう?



「・・・来てくれないと思ってた」


「あたしも、来ないつもりだった」


「・・・・・・・・・・・」




いつまでもドアの傍に立っている湊。




「来ないほうがよかった?」


「そんなわけないだろっ!!」


「・・・・・・・湊・・・」


「・・・ごめん。何度もメールも電話もしようとしたんだ。来てほしいって・・・だけど俺にはそんな資格ないから・・・」




再び俯く湊。




あたし、もう全部知ってるんだよ?


だから来たの。



だけど、あの人から聞いた話、湊から全部話してくれるまで、あたしは許さないから。




ジッと湊を見つめていると、顔を上げてあたしの隣に静かに座った。




「ずっと、話さなくちゃいけないと思ってたことがある」


「うん」


「・・・・・俺が、純粋な気持ちで和樺に近づいたんじゃないってこと」



そう話す湊の手はかすかに震えていた。





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