Bet
「友達に誘われたんだ。和樺を落としたら、一週間だけ遊ぶときの金を皆で奢るって。それで俺、迷わずその話に乗ったんだ」


「そう・・・」


「でも、落とされたのは俺だった」



え?



「和樺のことを知れば知るほど、どんどん惹かれていった」



湊の目は、嘘は言ってない。


いつもあたしを見つめる優しい目をしてる。


だけど今は少しだけ赤くなっていた。




「だから、付き合うときにあいつらに言ったんだ。俺は和樺に本気になったから、賭けは無しにしてくれって」


「・・・そう・・・・」


「あいつらもわかってくれて、和樺にも黙っててくれた。でも俺は、和樺と付き合っていくうちに苦しくなった」


「・・・どうして?」


「和樺と本気で付き合うからには賭けで近づいたことも全て話さなければいけないって思ってたけど、話したら離れていくと思った。和樺を失うと考えただけで、真っ暗になるんだ」



頭を抱えて俯く湊。




あたしも辛かったけど、湊は、付き合い始めた頃から辛い思いをしてたんだね。




「本当にどうしようもない男だよ。人を賭けの対象にして、その人騙して付き合い続けてさ」





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