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「で、どうする?」
ニヤリと笑う菜乃香。
湊を見ると、大きなため息を吐いていた。
「そんなの俺の財布から出せる額じゃないでしょ」
「じゃぁ」
「仕方ないから、君の了承を得るのは止めよう」
「はぁ?何よそれ?!」
菜乃香が勢い良く立ち上がると、湊はあたしを更に自分に引き寄せる。
「俺は和樺の了承さえ得られればいいんだ。だって付き合ってるのは和樺なんだからね」
“ね、和樺”と優しく微笑まれれば、あたしのは固まってしまう。
「う、うん」
「なっ!和樺、そいつの笑顔は偽物よ!!」
「酷いなぁ。人を詐欺師みたいに言うなんて」
「フンッ 同じようなもんでしょ」
こんな朝を迎えてあたしの一日は始まるんだ。