わたしの好きな男の、恋のはなし。
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「好きです、付き合っ─」
「ごめん」
…初めてだった。
こんな即答で…っていうか、まだ言い終わらないうちにフラれたのは。
それ以前に、フラれたこと自体がこの21年間の人生において初めての経験だ。
自分の身に起こった出来事が理解できなくて、口と目をかっぴらいて目の前の顔を見上げる。
そしてあたしが21年間生きてきて、これまでになくどストライクゾーンな男──新縄さんは、少し照れくさそうな顔をしてこう言ったのだ。
『…俺、今一緒に住んでる恋人がいるんだ』
「──聞いてねーよ」
─ダン!
洗面台の両端に手をついて、思わず一人言。
見上げた先にある鏡の中の自分があんまりにも般若そっくりだったから、あわてて眉間のシワをゆるめた。
おおっといけない、笑顔笑顔。
『笑顔がとびきりかわいい中野さん』が、眉間にシワ寄せて鏡に向かってガンつけてるのはいただけないよね。
中野真菜、大学2年生。
先日バイト先の新縄さんに告白して…見事、撃沈しました。
「好きです、付き合っ─」
「ごめん」
…初めてだった。
こんな即答で…っていうか、まだ言い終わらないうちにフラれたのは。
それ以前に、フラれたこと自体がこの21年間の人生において初めての経験だ。
自分の身に起こった出来事が理解できなくて、口と目をかっぴらいて目の前の顔を見上げる。
そしてあたしが21年間生きてきて、これまでになくどストライクゾーンな男──新縄さんは、少し照れくさそうな顔をしてこう言ったのだ。
『…俺、今一緒に住んでる恋人がいるんだ』
「──聞いてねーよ」
─ダン!
洗面台の両端に手をついて、思わず一人言。
見上げた先にある鏡の中の自分があんまりにも般若そっくりだったから、あわてて眉間のシワをゆるめた。
おおっといけない、笑顔笑顔。
『笑顔がとびきりかわいい中野さん』が、眉間にシワ寄せて鏡に向かってガンつけてるのはいただけないよね。
中野真菜、大学2年生。
先日バイト先の新縄さんに告白して…見事、撃沈しました。