わたしの好きな男の、恋のはなし。
相変わらずときめくのをやめない自分の胸にため息をついていると、後ろから呼ぶ声が聞こえた。
「そこの店員さーん!すみませーんっ!!」
「あっ、はぁ〜い!」
満面の笑顔で振り向いてみたものの…うげ。
入り口からすぐのテーブル。
ぶんぶんと大きく手招きしているのは…あきらかに冷やかしモード全開の、チャラい男集団だったのだ。
「あ…ご注文、お伺いいたします…」
「ねーねーオネーサンまじかわいいね〜!彼氏とかいんの〜?」
「ご注文を…」
「あははっ!ご注文を〜だってさ!!じゃあ俺、オネーサンをご指名しまぁーすっ!!」
「………」
…たえろ、眉間のシワ。
ひきつるな、口元。
こみあげてくる不快感をこらえていたら、突然腰をグッと引き寄せられた。
「ね?とりあえずここ座ってよ」
「〜ちょ…!?困ります──!!」
「いいじゃんいいじゃ〜ん!お客様のご要望聞けねーのぉ?」
「………っ!?」
ねちっこい声と同時に、全身に鳥肌が立った。
コイツ…
尻、さわりやがったんですけど!?