ロンリーウルフ
「なーサキ」
「何よ」
レイヤは数秒置いて、小さな声で言った。
「俺お前のことマジで好き」
ステレオはついているがCDのない静かな車内。
前を向いて運転しているから表情はわからないが、あたしの耳には照れているように聞こえた。
「突き落とされといて? あんた、ドMなんじゃないの」
「ちげーよ。なんていうかさ」
赤信号で止まると、不意に肩を引かれた。
え?と声を出す前に塞がれてしまった口は、すっかり慣れたようにレイヤを受け入れた。