永久の灯火†久遠の祈り
「……ネコ?」

「その猫は物知りだからな」

莉人は猫の前足の付け根を掴んで持ち上げた。

「このネコが?」

猫の綺麗な漆黒の毛並みは艶やかで、瞳は黄金に輝いていた。

「もう用は済んだ。帰っていいぞ」

そう言うと学園長は椅子に腰掛け書類を眺め始めた。だが、莉人は動こうとしない。

「どうした?」

「……帰るって、何処へ?」

大きな溜め息を吐いて、学園長は顔を上げた。

「案内してやれ」

猫に目で合図を送ると、また目線を下に落とした。

猫は莉人の手から飛び降りると、歩き出した。

莉人はもう一度学園長を見てから猫の後を追った。





「ここは……城?」

今までいた部屋から出ると、そこは昔のヨーロッパの古城を思わせるような廊下だった。

「うわー、映画の世界」

莉人はポツリと呟いた。

『でも現実だし』

「だよなー…………ん!?」

どこから聞こえたかわからない声に首を前後左右に振る莉人。

「幻聴?」

結局声の主を見付つけられず首を傾げた。

『違うし。オイラここにいるし』

莉人は恐る恐る声の主を見た。

「…………ネコが喋ったぁぁぁぁぁっ!!!!」



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