永久の灯火†久遠の祈り
リオはそっと大きな窓に触れた。

たった一枚のガラスで外界と隔離されている。

この窓を開ければ外に出られる。しかしそれももう叶わない。

触れたところから微かに感じる魔力。どうやら魔法がかけられているようだ。


「結界……?」


隣でリオの行動を見ていたハルトが呟いた。
その言葉にリオは小さく頷いた。


「私たちが、逃げ出せないように……」


リオは唇を噛みしめた。


ハルトだけは逃がしたかった。助けたかったのに……。



その時、何かが鈍い音を立てて崩れ落ちた。それと共に複数の足音が家の中に入り込んでくる。

それは両親の敗北を意味していた。


次は自分たちの番だ。


迫り来る死の恐怖にリオの躰が震え出す。


それを押さえるかのように、繋いだ手に痛いほどの力が加わった。


「ハル……?」


リオの手を握るハルトの瞳は真っ直ぐ前を見据え、強い光を宿していた。その瞳は微塵の恐怖も感じさせない。


「リオだけは絶対に守る」


その言葉と共に二人は黒い光に飲み込まれた。



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