素直になれないっ
　　　　ガッ

「きゃぁっ！」

　東雲はいきなり私を引っ張って人に見られない通路の壁に押しつけた。

　両手首はがっしり掴まれて私の足と足の間に自分の足をおいて身動きがとれない。

　しかも前を見れば東雲の顔が近くにある。

　怒っていていつもの顔とまったく違ってこわい・・・。

「・・・東雲・・・手、いたい・・・足どけて・・」

「だめ」

「ど・・して・・・？」

「だってそうしたら幸ちゃん逃げるでしょ？」

「・・・なんで・・・」

「幸ちゃんがわりんだよ・・・」

「・・・どしてそんな悲しそうな顔するの・・・？」

　東雲なんかあったのかな・・・？

　切ない瞳であたしを見る。

「・・・もう我慢できねぇ・・・」

　だんだん東雲の顔が私の顔に近づいてくる。

「・・・・東雲？・・・んっ！」

　私の唇に温かくてやわらかい何かがあたる。

　それを理解するのに少し時間がかかった。

　それは・・・　　東雲の唇

「・・・んっ！・・・んんっ」

　わずかに開いた隙間から東雲の舌が入ってくる。

「・・・・んん・・ふっ・・・やぁ・・・」

　私がどんなに逃げても東雲はそれを逃がさない。

　そして絡めてくる。　
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