素直になれないっ
「・・・話聞いてくれたらすぐ帰るから。聞いてくれる?」

 東雲はいつもと違う小さな声で言った。

 抱きしめている腕が震えている。

 東雲は真剣に私と向き合おうとしてくれてる、私も向き合わなきゃ。

 私は東雲を抱きしめ返した。

「わかった。あんたの話聞く。だから話して」

「うん・・・あのさ、言い訳みたいに聞こえるかもしれないけど聞いてね。・・・俺あの時ほ
んとは幸ちゃんにあんな事するつもりなかった・・・なのに理性きかなくて、抑えらんなくて、それで幸ちゃんに怖い思いさせて、泣かせて・・・ほんとごめん・・・俺・・・・」

 あっ、東雲きっと私が泣いたの怖かったからって勘違いしてるんだ。

 違う!誤解説かなきゃ!

「違う!私が泣いたのは怖かったからじゃない!イヤじゃなかったよ!?・・・・ただ、いきなりでびっくりしたの!頭の中グチャグチャになって、そしたら涙が出てきて止まんなくなって・・・だから東雲のせいじゃない!」

「え・・・」

「だから、私もあの時モヤモヤしてて言い過ぎたの!東雲にひどいこと言って傷つけた私も悪いの!東雲だけのせいじゃない!・・・だからひどいこと言ってごめんね・・・」

「・・・幸ちゃん・・・そんな俺・・・」

「いいの!私も東雲もおあいこよ」

「・・・わかった」

「うん!じゃあすぐタオル取ってくるからちょっと待ってて」

「いや、いいよ!話したらすぐ帰るって言ったし」

「だめっ!!先輩命令!」

「・・・わかった・・・」

「ん、いい子!じゃ、待ってなさいよ!」
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