素直になれないっ
 ~璃斗~

「あまり知らないくせに決め付けないで!こっちにも聞く耳たててよ・・・」

 正直びっくりしてる・・・

 こんなに怒ってる幸ちゃん初めて見るから。

 いつも学校で怒ってる時は優しく怒っているから。

 厳しくても必ず最後には笑う。

 だからこの人はたくさんの人から愛されるんだと思う。

「そんな、ある程度の事は聞いたと言ったでしょう?そっちが嘘を言ってるかもしれないじゃないですか」

「そんな事ない!例えあなた達がこっちが悪いと言っても、こっちが嘘をついていようとあたしはこの3人を信じる!」

「・・・凛」

「・・・先輩」

「・・・幸村先輩」

 いつもと少し違い彼女が凛々しく、強く見えた。

 あの雨の日の様な真っ直ぐな瞳をしている。

 少なからずとも、幸ちゃんは俺達を信じてくれてる。

 ただそれだけでも嬉しいと思う俺がいる。

 一生懸命涙目になりながら俺達を守ってくれている彼女が愛くるしくてたまらない。

 やっぱ俺、幸ちゃんが好きだ。

 俺って結構重症?

「凛、落ち着け。すいません、少し感傷的になり過ぎるところがあって。お前は少し外に出てろ。東雲こいつを見ててくれないか?」

 さすがにヤバイと思ったのか会長が仲裁に入り幸ちゃんをなだめる。

「あ、わかりました~」

 いきなり指名されてびっくりしたけど、すぐにわかり返事をする

「先輩行きますよ」

 幸ちゃんの手を引き生徒会室を後にする。

 そのとき幸ちゃんは俺のシャツの袖を強く握っていた。 
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