素直になれないっ
「幸ちゃん聞いて・・・」

　東雲はいつもの声であたしに言葉をかける。

　近くで聞こえる声に不覚にもドキっとしてしまう。

「・・・なに？」

　今の自分が恥ずかしくて、見られたくなくて、ぎゅーって強く抱きしめ返した。

　緊張して声も少し裏返る。

「・・・ありがと」

「え？なんで？」

　急に感謝の言葉をかけられてびっくりして声が上がる。

　でも東雲は話を続ける。

「俺達の事守ってくれてありがと。でもさ、何よりも嬉しかったのは俺達の事信じてくれた事
なんだ」

「・・どうして？」

「だってさ、いっつも俺達見た目とかですぐ決め付けられるのに、幸ちゃん達は信じてくれた。真っ直ぐにあいつらの目見て訴えて、怒ってくれた。いつもならこーゆーもめ事どーでもいいけど今は幸ちゃんの為にやってないって言いてえ」

　初めて東雲から自分の気持ちを聞いたと思った。

　迷いのない声。
　
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