桜は花の尤(ユウ)成るもの


「夕さん.そろそろ起きて
下さいな 開けますよ?」

そう言って襖を開いたのは
乳母としてこの家に奉仕
している とね である.

「ほらほら 夕さん
奥方様が朝餉を一緒に
食べようと お待ちして
おりますよ .」

「わかってる 今起きたばかり
だから準備するね?」


そうそう.

この家は 先代が起こし
江戸でも有名な酒屋.
"八乙女屋" である.

私はそこの養子として
迎えられているのだ.



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