桜は花の尤(ユウ)成るもの
八乙女屋に帰り着いた私は
皆が何か言っているのも
耳にせずひたすら自室へと
急いだ。
あまりにも皆と顔を合わせて
笑っていられる自信が
なかったから…
部屋にたどり着くと私は
小さい時無理を言って旦那様に
買って頂いた金魚の"茜"
を前にし 泣き崩れた。
私は何をしたのだろう..
あの馬を切り傷一つ無く
殺したのはやはり
私なのだろうか..
"茜"はそんな私を ただただ
ゆっくりと優雅に泳ぎながら
静かに見つめていた。