桜は花の尤(ユウ)成るもの


次の日.

私が真っ赤に泣き腫らした目を
旦那様や母上に見せまいと
躍起になって顔を洗っていると
とね が私を呼びにやってきた。

「旦那様がお呼びです…あらあら
どうしたのですかその目は.
旦那様が心配致しますよ?
さぁさ.これで冷やしてから
旦那様の元へは参りましょう。」
「とね… ありがとう。」

「いえいえ大切なお嬢様
ですもの.これくらいの事.
とねは致します。」


私が養子に来てからとねは、
いつも私を一番に理解して
くれる、優しい 心友とも
呼べる存在だ。


「さぁ. そろそろ行きましょうか」
「…うん」


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