Delivery―届け
#.03



―向坂ぁ向坂ぁお出口は右側です


電車の扉が開くと同時に

美少年が乗ってきた。



「あ!川嶋さん。同じ電車だったんだ」

「いつもこれです!」

「俺は火曜日だけこれ。朝練無いから、」

「初めて会いましたね」

「それか、気付いてないだけかもしれないし」



それは無いよ。


ウチの学校のアイドルと同じ電車なんて
みんなに即効メールしちゃうもん。








「そういえば先輩に買い出したもの持ち帰らせてすみませんでした・・・忘れてて;」


先輩の両手には紙袋がぶらさがってた。


「あー、俺も後で気付いたから」

先輩はきっと嘘ついてる。

優しい嘘だ。
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