誰よりも、あなたに~I NEED YOU~
僕は礼にうつむきながら話した。

『礼の存在は当たり前すぎたんだよ。2年前に別れた時も本当は辛かった。本当に辛かったのは礼かもしれないけどね…礼は…その…自分の病気のことは両親から聞かされたの?』

礼は晴れた空を見上げながら答えた。

『聞いたよ。…本当ショックだった!なんで私なんだろって!本当は優也が別れたいって言った時、私も優也の立場なら別れてたなぁって思ったよ…辛いのは私って言ったけど、本当は私も優也も…私のママもパパも辛いんだよ。辛いのは私だけって最初は思ったけど、私だけじゃないから今は病気と向き合っていくよ。それが今わかる私の未来だから』

僕は涙が1粒こぼれおちた。
僕はこんな前向きに考えている礼を今日会って話せて幸せだった。

『2年前の辛さは辛さとして僕の心に刻まれているけど、その分今の幸せもあるのかもしれない』と心の中で思った。

礼のその強さは僕の想像を超えていて安心した。

礼ははっと忘れていたことを思い出すように僕に言った。

『ほら元々、私はアナウンサーになりたかったのは知ってるでしょ?その夢はまだ持ち続けているんだよ。優也はなにかやりたいことないの!?』


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