誰よりも、あなたに～I NEED YOU～
病室で礼は落ち着きを取り戻して僕に話しかけた。


『優也…私、私じゃなくなってた……？』



礼は自分がなにをしたのか覚えてないみたいだ。



僕は礼の手を握って言った。




『礼、駅の近くで倒れてたんだよ。』




事実は言えるはずもなかった…。




『私ね…本当は病気と向き合っていて…何度も……うっ……うう………何度も………挫けそうになったんだよ………』

礼は泣きながらはっきりしない声で僕に言った。


僕は泣きそうな自分を我慢して礼の手を強く握った。




礼はめったに泣かない子だったため、礼の涙はより礼の辛さを物語っていた。




今まで見た礼はたまたま病気が陰に隠れていた時だけだったのかもしれない。



礼は僕に今まで我慢していた弱音を吐いた。

僕は礼の声以外の音が消えたかのように礼の声以外聞こえなかった。


礼の弱音は僕の心に深く深く傷を残そうしているような…それほど重苦しい…現実をつきつけた。


『……痛いよ優也』

僕は礼の手を強く握りすぎていた。


なにか僕は礼の弱音を消したい消したいと強く思ううちに礼の手を夢中で強く握ってしまっていた。
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