ありがとうとごめんね
道を外した自分 ─紗季
『おい!紗季ちゃんとやれよ!』
うっぜぇ・・・先生。体育なんて誰がやるかよ。
こんなめんどい授業いらねぇよ。
「・・・やんねぇーよ」
・・そう、体育はずっとステージに座ってなにもやらなかった。
先生に何を言われようが。試合にも出なかったから
本当の迷惑人間だった。
体育さえもできない自分が大嫌いで、いつも体育の時間泣くのを我慢してた。
中1こんなんぢゃやべぇな。しかも、3年に追いかけられるし。
完璧に道を外したな。染めたし。まゆげないし。
ここまでやったら、もうどうでもいいよ。不良になろう。
学校さえ行ってるだからいい。
でも・・・どうせなら周りに迷惑かけない
不良がいいな。
『紗季!』
あ・・・優季。
「なに?」
『紗季ほんとうにどうすんの、そろそろ部活きなよ。』
・・・無理に決まってんじゃん。ここまで来ちゃったらもう
取り返し付かないよ。自分が一番わかってる。
「いけない。ごめんね。うちの事放っておいていいよ。」
『いつまでそう言ってんの。いつまでさぼってんの』
「ごめ・・」
『・・・・』
こんな奴見捨てられてるのに、優季はいつもうちを誘ってくれた。
スゴイ感謝してるんだよ。
きっと部活の顧問にも見捨てられてる。
″あいつは絶対速くなれんのに。あいつが居ないとリレー優勝できない″
顧問が言ってくれた。正直うれしかった。けど、うちにそこまでの力あるのかな?
もう前向きに何かなれないよ。どんなことを言われても。何を言われても。
『なんでそんな後ろ向きなの!?前向きになんなよ!
そのくせ一人で抱え込んで不良になるし』
同じ陸上部だった玲に言われた言葉。
そんな事言われても、何も響かなくなったうちの心はもう駄目だった。
「玲は前向きだけど今から後ろ向きになれる?それと同じだよ。
うちは後ろ向き。前向きになろうとしてもなれないクズだから。」
この言葉には玲も無言になった。
うちなんて死ねばいい。友達の支えも上手に受け取れないなんて。