桃恋
「おはよごさいます…」
私は小声で挨拶をした。
だってみんなの視線を気に
していたから…
「ああっ!!昨日貧血で倒れた
貧弱女だ!!」
ひ、貧弱女ってそんなぁ~
グスン
涙が出てきた…
いやだよ…こんな…
私は、お父さんの仕事の都合で、ここ
「宮城中学校」にてんこうしてきた。
新築の一軒屋、隣には宮中の男子生徒が
住んでるらしいけど、名前は分かんない。
ちなみに私の名前は篠原 桃香
中2のオンナノコです。
「篠原さん、だったよね?」
突然私の腕を掴んできた。
「は、はい…」
「俺、瀬ノ内 陸、お前ん家の隣に
住んでるんだけど、何か分からない事が
あったら、俺に聞いて。」
ぼっ///
かっこいい…
その人は、まさに「王子様」だった。
茶色く染めた髪に、高級そうな
ネクタイピン、光にあたる度に輝く
瞳は、まるで宝石のよう、
スマートな輪郭に高い鼻は、もう
芸能界に入っちゃいそうなくらいの
かっこよさだった。
し―――――――――――――ん
はっ!!
瀬ノ内君に見とれすぎてた…
「よ、よろしくお願いします。」
「こちらこそ…」
これが、「出逢い」だった…