First Love ~君がくれたもの~


記憶喪失のシモンを見て、王妃は口元を両手で押さえて今にも泣きそうな顔をしていた。

そんな王妃を王は肩を抱き寄せ部屋の外へと連れ出した。

二人きりになると堪えていたものを零すように王妃の瞳から雫が流れる。

『あなた・・こんなことって・・』

『いや・・あれは記憶など失っておらん』



──────────!?



『あれは恐らく、カタン王の息子だ。父君によく似ている・・』

『あなた・・最初から?』



──────────馬鹿な!!

知っていて、俺を育てたというのか!?




『ああ。あれの目は記憶を失っている者の目ではない。父君の仇を討とうとしているのかもしれない。・・・私はあの少年を自分の息子として育てる』

『あなた・・・・』

『例え成長して私の首をとろうと構わない。少なくともお前と国は護ってみせるさ。』

王はドアの向こうの少年に目を向ける。

『あの少年を育ててみたい。出来れば復讐心を取り除いてやりたい』

復讐からは何も生まれない。

復讐ではなく、普通の幸せを見つけてほしい・・・




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