First Love ~君がくれたもの~
初恋
「えっ、観光?」
朝食のハムエッグを作っていた比呂はフライパンを片手に振り返った。
「ああ」
新聞配達のバイトが終わった雄平は、シャワーを浴びて髪をタオルで拭きながら比呂に声をかけていた。
「あいつも一緒に?」
チラリとミリアの眠るベッドに目を送った。
1Kのこの部屋はキッチンからでもちょっと覗けばベッドを確認する事が出来る。
ミリアが眠るのは二段ベッドの下。
元々は雄平の場所なのだが、ミリアに譲って自分は床にマットを敷いて眠った。
「てかこいついつまで寝てんだ」
ミリアは気持ちよさそうに眠っている。
眠る無邪気な顔を見ていると、まだまだ幼い少女なんだと思う。
「おい!いいかげん起きろ!!」
比呂は勢いよくミリアの布団を引っぺがした。
突然奪われた温もりにミリアは眉を寄せながら目を開け、おそらくは自分の温もりを奪った比呂を確認するとその頬を思い切り叩いて、比呂から布団を奪い取ると自分の身体を隠す様に布団を握りしめた。
「ってぇ!何すんだよ!!」
叩かれた比呂はこちらも真っ赤な顔でミリアに顔を近づけて睨み返した。