First Love ~君がくれたもの~


「とりあえず顔洗っておいで」

雄平がミリアの頭を優しくポンポンと叩くと、ミリアはコクリと頷いてベッドから降りた。

歩き出そうとしたミリアは、雄平と比呂の向こう側がもくもくと煙っているのに気がついた。

「・・・煙?」

その一声で比呂はハッとなって後ろ振り返る。

「うわあああ!!」

・・・・ハムエッグを作っている途中だったのを忘れていた。

慌ててキッチンに戻るが時すでに遅しだ。

「お前のせいだぞ!チビ!!」

真黒になったフライパンを持ったまま振り返るとミリアはキョトンとしている。

「また作ればいいじゃないか」

庇う様な兄のセリフに何だか泣きたくなってきた。




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