First Love ~君がくれたもの~
「・・・比呂はやらないの?」
瞳は雄平に釘づけのまま、珍しく比呂に話しをなげた。
「おれは・・・おれはいいんだ。・・・兄貴の負担にはなりたくない」
比呂もミリアを視界に捉えず、雄平を目で追いながら話しを続けた。
「朝は新聞配達して、部活が終わった後もバイトしてさ・・それに、」
・・・ガシャ・・・
知らずフェンスを握る手に力がこもる。
「兄貴は一緒に暮らそうって言ってくれた」
ミリア雄平から視線を外して比呂を見上げた。
「一年前、両親が離婚したんだ。二人ともおれ達を引き取るのは嫌だと言った。結局は別々に引き取られる事になったんだけど、そんな親と一緒に暮らすなんて嫌だろ?めちゃくちゃおれが嫌がったんだ。・・・そしたら兄貴が二人で暮らそうって」
比呂のこんなに切なそうな瞳は見たことがなかった。
自分の両親はとっても温かくて、絶対に自分をいらないだなんて言ったりしない。