泳いでね、スー〜震災の中で〜
高台の学校に辿り着けた成瀬は、車を乗り捨てた選択の正しさを痛感していた。
車が渋滞していた所は次々と津波に飲まれていき、津波に飲まれていく車のクラクションが悲しげに響き渡っていたのだ。
やがて、成瀬は避難所に、防災対策庁舎の方向を見つめる近澤の母親、由美を見つけ駆け寄った。
「恵美ちゃんの声がさっきまで…。恵美ちゃんが助けてくれたよ〜。」
成瀬に抱きつかれた由美は、軽く頷くだけで視線の行方は変えなかった。
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車が渋滞していた所は次々と津波に飲まれていき、津波に飲まれていく車のクラクションが悲しげに響き渡っていたのだ。
やがて、成瀬は避難所に、防災対策庁舎の方向を見つめる近澤の母親、由美を見つけ駆け寄った。
「恵美ちゃんの声がさっきまで…。恵美ちゃんが助けてくれたよ〜。」
成瀬に抱きつかれた由美は、軽く頷くだけで視線の行方は変えなかった。
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