泳いでね、スー〜震災の中で〜
「スー、ありがとう!」

元気君が、僕に笑顔で言った。

僕は、返事を返す事は泳ぐので精一杯でできなかったけど、とにかく隣を泳ぎ続けた。

その時、彼のお母さんが叫んだ。

「スー、もういいから海へ泳ぎなさい!!帰れなくなるわよ!!」

わからない…、僕の為に何かを言っているのはわかるけど…。

彼女が、海の方を指して、

「海へ泳いで!!」

と、言った時にそれまで海から離れていく流れが止まった。
< 78 / 108 >

この作品をシェア

pagetop