泳いでね、スー〜震災の中で〜
「鯨…イルカ…!?」

その人は僕を覗き込んだ。

僕は片方の前鰭を水面に出し、また水中に戻した。

「生きてるのか!?」

その人は、そう言うと、

「避難所に行って、動物保護のボランティアに連絡してくれ〜!!イルカがいるんだぁ!!こいつだって、元気達と同じ津波の犠牲者だ!!」

たんぼ脇の道路に車を停めている彼の息子に叫んだ。


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