Summer Love
ふらふらと家に帰る。
最近、こういうことが増えた。
ふらふらと歩いて、ふらふらと家に帰る。
そんな生活が始まって1週間。
あたしにとっては、大きな1週間。


「もうすぐ、新学期かぁ」


新学期が始まれば、いやでもあいつの顔を見なければならない。
クラスは違っても、きっとあたしの変な探知機が反応して、あいつを見つけ出してしまうに違いない。


「あぁ、もう。あたしの馬鹿」

「そこの馬鹿、早く飯食え」


声のするほうに目を上げると、そこには、あたしを見下しているやつがいた。
…あたしの、兄貴。


「うるさいなぁ。もう、食べた?」

「食ったよ。今日は百花が来てくれたから、飯作ってある」

「あ、モモちゃん来たんだ」


兄ちゃんが作ったものなんて、食べれない。
だから、兄貴の彼女のモモちゃんが来てくれたときには、安心する。


「何で、モモちゃんみたいな可愛い人が兄ちゃんと付き合ってるんだか」

「お前、口だけは立派だよな」


あたしは、高校生になってから、家を出た。
家からでも通える距離の高校だけど、兄ちゃんが一人暮らししているアパートからだと何かと交通の便がいいから。
それに、仲が悪いわけでもないし、ご飯以外に不便さを感じたことが無い。
ちなみに、兄ちゃんは25歳。こう見えて、ばりばり働く会社員。
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