法螺吹きテラー
……誰かと、目が合った気がする。
跳び箱の、中と。
そして視線を感じた瞬間、
物凄い勢いで扉が閉じた。
スライド式のそれは、
結構な重さがあるし、
それに、
誰かが近づいて来る、
物音なんて、聞こえなかったのに。
やっぱり、見つめるのは間違いだった?
数秒で、片を付けるべきだった?
……誰かに頼るべきだった?
逸らされない、視線。
何者かが俺を見つめている。
瞳は見えないけれど、
誰かの気配を感じてしまう。
そしてカタリ、と、音が鳴った。
木に何かがぶつかったような、そんな音だ
それはやっぱり、跳び箱からで。
中に、誰かいる?