法螺吹きテラー
3.嘯く
「なあ佐野君、話を聞いてくれないか?」
「……なんですか?」
「まあ、嘘なんだけどね」
いつもの台詞を前置きに、
先輩は話を始めた。
「まだ旧校舎が新しかった頃、
いじめを受けていた生徒が居たんだ。
その生徒は、終業式の日、
教室のロッカーに閉じ込められてしまった
もちろん加害者側も、
鍵を閉める前に教師が気が付くだろう。
そう思っての事だった。
だって、
誰も殺人者にはなりたくないだろ?」
「……そうですね」