法螺吹きテラー
大体、もう1人の自分ってなんだよ?
そうは思いつつも、動悸は激しくなるばかり。
とにかく、ここを上がらなきゃいけない。
決意を決め、恐々と顔を上げ、
自分を待ち構えている相手を見上げた。
……窓から入る、落ちかけの夕日で
逆光になっており、相手の顔は見えない。
だけど、服装は分かった。
……俺と同じ、部活のジャージ。
うちの学校は、運動部でそれなりに部員がいる部は、
みんなそれぞれジャージを作っている。
特にうちの部は、
他の部活とは色味が被っていない。
だから、見分けがつけやすい。
俺と同じ、部活の奴?
だけど待てよ。
俺は今、部活の途中に、
頼まれ物をして、ここまで来ている。
他は全員、活動中のはずだ。
それなら一体、あれは誰だ?