法螺吹きテラー
でも、他の階段を使って、
ダッシュでここまで来たのなら、
俺を脅かそうとしているのなら。
それなら、ありえない話じゃない。
あの噂を聞いたのだって、
部活の先輩からだったし。
全部仕組まれていて、
俺にドッキリ仕掛けてるんじゃないか?
多分、手すりの位置的に
身長も俺と同じぐらいだ。
似たような背格好の奴は、
部内に何人もいる。
やっぱり、そういう意図で、
俺に悲鳴でも上げさせたいんだろう。
全部、やらせ。
なら、大丈夫だ。
そう思って、止めていた足を
動かそうとした瞬間。
踊り場の誰かが、
笑ったような気がした。