法螺吹きテラー
またカーテンを閉めて、
恐らく初めて、
自分から先輩に電話をかけた。
数回の呼び出し音の後、
眠そうな先輩の声が聞こえた。
『……もしもし?佐野君?』
「先輩!夜分遅くに申し訳ないですけど、
今日の話、あれ、嘘ですよね?」
半ば叫ぶように、請うように。
俺がそう尋ねると、
先輩は笑って言った。
『だから、思い込みって怖いだろ?
前にも言った気がするけど』
それは確か、
旧校舎の体育倉庫でだったか?
じゃあ、もしかしてこれは、思い込み?
俺が、本当の事と受け止めたから。
本気で信じていなくても?
それとも、無意識に信じ込んでいた?
そんな事を考えていると、
先輩はようやく、
俺の欲しかった言葉をくれた。
『嘘だよ』