法螺吹きテラー
その言葉で、ようやく安心できた。
もう1度、カーテンを開けようと思える。
シャッと軽い音を立てて、
布の取り除かれたそこには、
室内の様子と、俺の姿しか見えない。
少し見える外にも、なんの異常も無い。
はー、と息を吐く俺に、
電話の向こうから先輩の笑い声が届いた。
『嘘だけどさ、
あの先生、覗きはしてるみたいだよ』
悪戯に笑う、先輩の声。
その意図を、掴み兼ねる。
しかしすぐに笑うのを止め、
『もう寝る。おやすみ』
「あ、起こしてスミマセンでした。
おやすみなさい」
多分、声的に寝起きだった。
そして電話を切った俺も、
もう1度ベッドに入り、目を閉じた。
――翌日。
放課後、部活前。
何故かロッカーの中に、
飾りのついたボールペンを見つけ、
悲鳴を上げた俺は、先輩に爆笑された。
あの『嘘だけどさ』が、
その後の事についていたのだと信じたい。