法螺吹きテラー
1段、2段、3段。
上がっていくと、
ある事に気が付いた。
……光に遮られない、足元。
そこに見えるのは、
体育館用の上履きだ。
それは、別におかしい事じゃない。
だけど、そこに書かれた落書き。
それが何故か、
俺が先輩たちにやられた物と同じだ。
置きっぱなし防止用に、
先輩たちは後輩の上靴に、
それぞれ違う落書きをするのが、
うちの部の、入部後の恒例らしい。
そうやって俺の靴にも書かれている、
決して他の奴とは被らない、落書き。
それが、踊り場の奴の靴にもある。
……じゃあ、まさか。
噂は本当で、
この上にいるのは。
もう1人の、俺?