法螺吹きテラー
6.祟る


「――今の事をすると、
向こうは馬鹿にされたと思うから、
祟られてしまうんだよ」


「………………」


先輩はそう言った。

今、言った事をさせた後で。



そうして俺は無言で、
続いて欲しい言葉を待つ。


「嘘だけどね……」


……よかった!



しかし何か後に続くような、
そんな微妙な間合いを取られたから不安だ



とりあえず、神様に祈っておこう。


普段は別に熱心に拝んだりはしないけど、
こういう時だけ何故か頼りたくなってしまう。


ついでに、
次のテストの成功も頼んでみようか。




……どうやらブツブツと、
声に出してしまっていたらしく、
先輩が笑い出した。


「なあ佐野君、知ってるか?」

「……なんですか?」


本当に楽しそうに笑いながら、彼は言う。



「祟るのは神様だよ」



……俺は祈るのを止め、
代わりに許しを請う方へ移行した。



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