法螺吹きテラー
しばらく呆然としていると、
先輩に肩を叩かれて我に返る。
それと同時に、
近くの窓がトントン、と叩かれた。
「それでな、1人じゃないんだよ。
さっきも『奴ら』って言ったから、
解ってるかもしれないけど」
窓の外から、何か声が聞こえる。
だけどそれは、
先輩の声が被さってよく聞こえない。
「まあ、全部嘘だけどさ。
作り話だよ、こんなもん」
先輩はいつもの台詞を言ったけど、
じゃあ、さっきの南葉は何なんだ?
普段通りなら、まずあんな行動はしない。
疑問は残った。
だけど先輩は笑いながら、外へと促す。
足は、それに従った。
先輩は、嘘だと言ったけど。
次の日に南葉は、部活を止めた。
本人曰く『趣味が変わった』からだそうだ