法螺吹きテラー
だけれど、進展は無い。
何も見つからない。
そんな日々が続く中で、
神花先輩のクラスメイトたちは、
1人、また1人と諦めてしまった。
その理由は、
見つからない事だけじゃない。
ノートに増えていく文章が、
段々と薄気味悪い物になっていっているからだ。
『助けて、帰りたい』
これならまだ、心配になるだけだ。
『迎えに来て』
これも大丈夫。
だけどこの辺りから、
段々と添えられる日付がおかしくなっていった。
最初は、1日や2日のずれ。
だけど31日が終わり、
次の月へ移ったその日。
ノートの日付は、32日。
そうして日数は経ち、
日にちの数字が大きくなるにつれ、
文章もどんどんおかしくなっていった。
『黒と灰色の黒い塊が上ってきて黒くて軽くて塞がって暗くて、暗いのは元々で、だから』
だから何……?
色々とおかしくなっていって、
帰りたいとか、そういう言葉が消えていった。
月もいつの間にか変わったり、
また戻ったり。
どんどん変になるばかりだった。
そうしている内に、
放課後、神花先輩を探すのは、
俺と安藤先輩だけになってしまった。