法螺吹きテラー
2.跳び箱少女
「こんな話を知ってるか?
旧校舎の体育倉庫にはね……」
「どうせ嘘なんでしょう?
さっさと柔軟終わらせましょうよ」
人の背中を押しながら、
いつものホラ話をしようとする先輩をいなす。
この人――安藤(あんどう)先輩は、
やたらと俺に構ってきては、
学校の怪談系の話をしてくる。
そして最後にはいつも、
『嘘だけど』
そう言って、すべてを嘘にしてしまう。
嘘じゃなく、
また、自分に降りかかってこない事なら、
俺だって話は聞きたい。
学校の七不思議とか、
そういう事が好きな方だからだ。
……まあ、この学校に
七不思議は存在しないらしいけど。