頭痛
 秋史は手紙を、封筒ごと、手の中で丸めた。
 電車の座席から立ち上がると、備え付けのゴミ箱に、日記のページを一枚ずつ破り捨てた。

 秋史は家に帰ると、寝室で横になり、ぐったりとした。

 相変わらず、秋史の頭痛は取れなかった。

 信一郎の父親は、本当に自殺するのであろうか。思い止(とど)まっては、いないだろうか。

 現に信一郎の父親は、あの後すぐに姿を消していたのだが、一度芽生えた不安感と猜疑心は、秋史の頭痛を加速させた。
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