頭痛
秋史は一刻も早く、この癒えぬ病から開放されたいという衝動に駆られた。
どうすれば良いのか、秋史は一つしか思い付かなかった。
車のエンジンを掛けると、夜の闇を疾走した。
周りの景色は、流れるような残像を作り、殆んど認識出来る事はなかった。
点が線になり、湾曲する。
青い色。
赤い色。
そして、黄色から白い世界へ。
細い細いトンネルのような白い世界を抜けると、吹っ切れたように、目の前の視界が開けた。
──いや、違う。真っ暗な闇だ。
何も聞こえないし、何も感じない。
突然、轟音とともに、秋史の瞳に何かが映る。
お父さん、お母さん、叔父、凪子、信一郎に、その父、そして香澄……。
「おおお、オオオオオ……」
アクセルを目一杯に踏み込んだ。
歪んでゆく。
何もかもが……、秋史の見える世界が、歪んでゆく。
そこで、プッツリと、秋史の意識は途切れてしまったのである。
―完―
どうすれば良いのか、秋史は一つしか思い付かなかった。
車のエンジンを掛けると、夜の闇を疾走した。
周りの景色は、流れるような残像を作り、殆んど認識出来る事はなかった。
点が線になり、湾曲する。
青い色。
赤い色。
そして、黄色から白い世界へ。
細い細いトンネルのような白い世界を抜けると、吹っ切れたように、目の前の視界が開けた。
──いや、違う。真っ暗な闇だ。
何も聞こえないし、何も感じない。
突然、轟音とともに、秋史の瞳に何かが映る。
お父さん、お母さん、叔父、凪子、信一郎に、その父、そして香澄……。
「おおお、オオオオオ……」
アクセルを目一杯に踏み込んだ。
歪んでゆく。
何もかもが……、秋史の見える世界が、歪んでゆく。
そこで、プッツリと、秋史の意識は途切れてしまったのである。
―完―