不幸のち幸せ
第1章
不幸な女 sideー仁奈
天志 仁奈。
これが私の名前。一番最初に名前を紹介したのは、理由がある。
それは……――
「仁奈、あぶない!!」
ボフッ…
バスケットボールを顔面キャッチ。
そう、私は《てんし》という名字がついていながらとても不幸な女。
「大丈夫?…仁奈はやっぱり不幸天使だね?」
ケラケラ笑いながら私に手をだすのは唯香。ひりひりする鼻をこすり、私は唯香の手につかまる。
「わりー。誰?」
そんな声をあげて、私の方へ走ってくる男子。もー誰よ!!って最初は睨んでたけど、その男子は…大杉海斗。ちょーモテモテの人じゃんか!!
私は慌てて顔を下に向ける。
私、この人苦手なんだよね…
「ねぇ、君大丈夫?…天志…にな?」
「天志に、い、なです。」
「あ、仁奈って呼ぶんだ。」
なんだこの人!?人の名前間違えて笑顔か!?
しかもさっきから、人のジャージ見てるし!!なんなんだこの男!?
「《天志》ねぇ…フッ」
「は…い?」
い、今この人鼻で笑ったよね?
私の名字を笑っ…た。
「じゃーな、仁奈。」