STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
前方を向いてハンドルを
握る横顔は感情は見えない
けど、前を見ながらどこか
遠い所を見てるようにも見える。



――恋人のことを
思い出したのかもしれない。



そう思って、あたしは
自分の言葉が失言だった
ことに気づいた。



「………ゴメン」



「いいさ」



そうだ。



最初に教えてくれて以来、
那智は亡くなった恋人って
人のことは何も話さない。



話さないから忘れてしまい
そうになるけど――那智
にはたった2年前まで、
愛し合ってる人がいた。


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