STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
無意識のうちに口をついて
出た言葉に、運転手が
ピクッと反応する。



「お客さん、何か言いました?」



「――何もないよ。

気にしてる暇があったら、
とにかく急いで」



『こりゃすいません』と
言って再び運転に専念する
運転手。



タクシーが目的地に着いた
のはそれから数十分後だった。



場所が正しいことはすぐに
分かる。



そのホテルの門の脇に、
居心地悪そうに一人の女性
――舞が、立っていたから。



「あぁっ、やっと来た!

けど仕事は大丈夫だったの?」


_
< 307 / 396 >

この作品をシェア

pagetop