STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
今日の客選びは失敗だ。



もういいやと思って、手を
振り払って逃げ出そうかと
思った時だった。



……前を見ないで歩いてた
せいで、正面からドンと
誰かにぶつかってしまった。



「…………っ!」



あわてて前を向いて
ぶつかった相手を確かめる。



黒のタイトなスーツに
身を包んだ背の高い男が、
あたしを見下ろしてた。



「すいません」



小声で謝って横にずれ
ようとするあたしに、
その男は――。



「ふぅん。エンコー?」


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