STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
色素の薄い茶色がかった
瞳に、しっかりとあたしを
とらえて。



那智はあたしを貫く矢の
ように、そう、まっすぐな
問いを放ったんだ。



「な……に、言って……」



あたしのノドから漏れる
声は、情けないくらい
かすれてる。



「だって顔に書いてある。

今夜だけじゃなく、いつもね。

“本当はこんなことしたくない”
“もう疲れた”って」



「ハッ――笑える!

何わかったようなこと
言ってんの??」



あたしは明らかな嘲笑を
向けたけど、那智は少しも
揺るがなかった。


_
< 78 / 396 >

この作品をシェア

pagetop