君の隣
  




 なんてこと、あたしには言えるはずもなく。


「し…知ってます。バスケ上手なのいつも見てました。」
「まじか~俺見られてたか~。」

 そう冗談交じりに言うもんだから
 あたしの口角もだんだん緩んだ。

「女子バスの子だよね?名前なんていうの?」



あたしのネームを見るために顔を近づける行動に
 あたしの胸の鼓動はさらに高鳴った。


「小田切憩です!!2年1組です!!!」
「いこい?!すげえ名前だな、覚えとく。」

 覚えとく?!?!?!?!

 覚えられちゃったの?!?!?!


「あ、こんな時間だ。俺もう帰んなきゃ、じゃあね。」

「さ、さようなら!!」


 

 滉平さんは部室のドアを閉めた。



 やばいやばいやばいやばいやばい~!!!!!


 話しちゃった名前聞かれちゃった名前覚えられちゃった~!!!!



 もうこれは速攻胡葉に伝えなきゃならない。




 
 そう思ってさっき滉平さんが握ったばっかりのドアノブを
 ちょっとだけ二やつきながら握って部室を出た。




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