君の隣
緊張
「ただいま~…」
「あ、おかえり~、お母さん今日は仕事だって~。」
「そう。」
家にいたのは1つ上の皐姉ちゃん。
「ご飯テーブルの上にあるから。」
「は~い。」
テーブルの上にはラップに包まれたオムライスとサラダがあった。
母は最近いつも仕事で帰ってこない。
お父さんはあたしが5歳のときに家を出て行ったし
お姉ちゃんとの2人暮らしのようなものになっている。
「あ~、まだ5時だよね。ご飯の前に寝よっかな。」
一度だけ伸びをしてカーテンを開けた。
さっきの夕立で葉の上には露がたまっている。
露をこぼし葉をちぎる。
鮮やかな緑がいまのあたしには異様に眩しい。
ちぎった葉をほうり投げ、窓を閉める。
「あったかいご飯、食べたい。」
誰もいない部屋でそう一言つぶやいて
ベッドに寝転んだ。